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コラム/近況報告
掲載日: 建物・建築

タイトル2×4(ツーバイフォー)製材トラス架構見学記

 先日、珍しい木造トラス架構設置の現場見学会に参加させていただきました。
 大スパン実現可・かつ軽量なこちらの架構、現場で説明してくださった部材メーカーの方によると、体育館や倉庫などで全国的にかなりの採用実績があるそうです。
 今回見学した建物も、福祉施設という性質上、室内は柱のない広い空間とすべく本架構が採用されたようです。見学会を主宰してくださった建築士さんによると、鉄骨造にするより木造でこの架構にした方が建設費を抑えられるということでした。
 大型建築物に木造が採用されることが増えていきそうな時流もあり、大スパンを実現する木造部材の需要は今後伸びていくと思われます。

 現場は地下鉄七隈線橋本駅からほど近いところですが、当日配布のレジュメを見て、市街化調整区域だということに驚きました。すぐそこに駅と巨大ショッピングモールがあるというのに。道路一本挟むと住宅地だというのに。線引きが地域の実情と合っていないような。

  それはさておき、現場は建て方の終盤、まさにトラス架構設置の真っ最中でした。
 薄いトラス部材をクレーンで吊り上げ、500㎜間隔で梁・桁に乗せていきます。

 こんなペラペラな部材(失礼;)、梁や桁にちゃんと固定できるのだろうかと不思議に思い、施工済みの内部を見上げて気が付きました。梁下端の間柱設置箇所には欠き込みがあるけれど、梁上端のトラス部材設置箇所には当たり欠きらしきものがありません。

 「このトラス、梁に突き付けで留め付けしてるんですか?」と建築士さんにお訊きしたところ、なんと(?)、トラスは桁に釘留めしているのみで、梁には固定していないのだとか。そもそも、梁からは若干浮いているのだとか。
 そのレベルで大スパンに耐えられる架構だとは、この製材のペラペラ加減(幅厚比というべきですかね)、断面二次モーメント極大化と軽量化との兼ね合いで、非常に合理的なものであると感じられてきます(おそらく素人的感想)。そういえば、この製材は正確には2×4(ツーバイフォー)ではなく、2×6(ツーバイシックス)との説明をいただいたような気もしてきました。

 今回の建物は、梁より下が通常の木造軸組工法ですが、まだ柱頭柱脚金物や耐力壁部材は施工されていません。柱間に設置されている斜材は、トラス架構設置中の仮筋交いだそうです。

 視線を下にやると、ほぼ直床レベルのところも含め、床下が非常に低い建物であることに気づきました。スロープ計画が難しくならないように床高を低く設定しており、排水以外の配管は天井や壁に施工するそうです。

 部材メーカーの方によると、このトラスを現しにする建物もあるそうです。その場合はちょっと製材接合部の金物や木板が悪目立ちするのでは?と思ったところ、やはり架構現しの場合は、金物等含め、全体を塗装することが多いのだそうです。
 改めてトラスを見上げ、個々の部材がどうなっているのか炎天下の中庭に出て確認してみました。

 

 架構は、輸送できるサイズ(完成形の半分)まで工場で組み立て、現場で棟部等を接合します。

 製材を接合するプレート金物はコネックといい、孔周りの爪が製材仕口部に打ち込まれています。メーカーの飯塚工場(今回の架構制作場所)では、金物取付機器を動かして製材の接合を行っているそうですが、大規模工場では、架構製材をベルトコンベアーで流し、固定位置の機械が製材接合部に金物をプレスするやり方のところもあるそうです。
 おそらくこの金物は何らかの性能評価を受けていると思いますが、完成系の架構部材自体は、特に大臣認定などを受けているわけではないのだとか(計画建物の構造計算の対象になるようです)。

 棟部とその下部の接合部材は木板で、架構製材の両側から釘で留め付けられています。

 接合前の棟部はこんな感じです。

 釘の打ち込み箇所は、工場でマーキングしてくるそうです。
 アナログなマーカー風ですが、これは人の手による作業なのでしょうか。

 主催の建築士さん、施工会社スタッフの方、架構部材メーカーの方がこぞって詳しく説明してくださり、終始「へぇー」「ほぉー」を連発していた見学会、大変興味深いものでした。
 猛暑の中、皆様ありがとうございました。

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