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掲載日: 近況報告

タイトル二級建築士への道(6)ー設計製図試験受験編ー

 先週日曜日、二級建築士の設計製図試験を受けました。

 二級建築士の設計製図試験は、3年に1回は鉄筋コンクリート(RC)造建物、残り2回は木造建物が出題されます。
 昨年はRC造の出題回だったため、今年は木造のターンです。事前に発表された課題名は「夫婦で営む建築設計事務所を併設した住宅(木造2階建て)」でした。
 3月に卒業した専門学校の2年次は、週に2コマある製図の授業で過去の本試験課題に取り組んでいましたが、解答例の単なるトレースすら本試験時間の5時間で完成したことがなく、受験対策としてのエスキス(下書の設計)や作図のノウハウ習得も学校の授業では正直限界があったので、学科試験終了時には設計製図試験に合格できるイメージが全くありませんでした。
 が、予備校のノウハウというのはすごいもので、この2ヶ月間、(仕事が起案祭りで思うように自宅学習ができなかったものの)毎日曜日に講座に休まず通った結果、なんとか5時間ギリギリで製図を完成させることができるようになりました。
 講座の後半では本試験形式の製図を多くこなしたのですが、私はエスキスをまとめるのが速い(作図に取り掛かるタイミングは教室の中でほぼトップという)一方、作図スピードが遅めなのか、後から作図にかかった人にどんどん抜かされ、時間が余ることは全然ありませんでした。
 それでも2回の模試はどちらもランクⅠ(本試験の合格レベルランク)を取れていたので、本試験でもエスキスを1時間程度でまとめることができれば、合格レベルの図面を描き切れるだろうという自信が出てきました。

 試験当日は、下見していた試験会場近くの駐車場が満車で、ちょっと離れた駐車場まで行かないといけなかったり、会場に向かう途中で製図板を何かにぶつけ、試験中に平行定規が動かしにくくなるというハプニングなどがありつつ、予定通りエスキスを1時間程度でまとめ、4時間ガリガリ作図して、(いつも描き足す時間がない庇はやっぱり描けませんでしたが)要求図面と要求設備は描き切り、「多分受かった?」という感触で試験を終えました。

 試験終了後、専門学校のクラスメイトと話をしているうちに、全然行く予定をしていなかった予備校の答案再現会に行こうということになり、疲労困憊の中、答案再現にかかりました。

 そこでやらかしに気がつきました。敷地条件の既存樹木(枝張り3m)上に、2階バルコニーをがっつり張り出させてしまったということに・・Σ(゚ロ゚;)
 「いや、枝張りが大きくても背は高くない木ってこともありえるし!」などと一瞬思ってみましたが、屋外テラス以外「既存樹木(枝張り3m)・・の部分には建築物・・を計画してはならない」という設計条件がある以上、これは完全にアウトです。予備校で習った一発失格項目(設計条件や課題の特色に対する重大な違反)だと思われます・・。

課題文

敷地条件
  

再現答案(バルコニーの位置・・・・・・・)
  

 本当に、やってしまったー。1階2階の階段や通し柱の位置ずれとか、立面図の方角とか、断面図の切断位置指定などに気をつけなければいけないという意識は強くあり、設計条件違反などもこれまでの予備校課題で一度もやらかしたことはなかっただけに、なぜこれを本試験でやってしまったのかと後悔もひとしおです。
 そして、明確な実力不足というより、こういう勘違い系というのはまた来年もやらかさないという保証がないだけに怖いです(そういう勘違いをすること自体、実力不足と言ってしまえばそれまでですが)。

 しかし、予備校で再現答案なぞ作って何の意味があるんだと思っていましたが、合格発表の12月に、「なんでやねん!」とならずに済むという効果はあるとわかりました・・。

 というわけで、また来年です。来年の設計製図試験も木造の出題回なので、まだ良かったと思うことにしますが、来年ダメだったら次はRCの出題回になるわけで、そちらの製図ノウハウは全然ないのでどうしたものなのか・・いや、何とか来年合格するぞ!!

(2020/9/30追記)
 私が令和元年試験で不合格となったのは、既存樹木上のバルコニー計画という重大条件違反が決定的要因ですが、他にも重大ミスがあることに、令和2年の試験対策時に気が付きました。
 令和元年の受験時は、「床伏図に火打梁描くのと、部分詳細図に(作図位置が基礎部分か胴差部分に指定された場合)根太を描くのがめんどくさーい。そうだ根太レス(剛床)工法にしてしまえ!」という発想で、床伏図に「構造用合板による床組(剛床工法)」等と書き、火打梁を描いていませんでした。
 しかし、根太レス工法であれば床梁を910㎜間隔とすべきところ、当時はその認識がなく、普通に梁を1820㎜間隔でしか入れていませんでした。
 この床組構造に関する認識不足は、令和2年試験対策で受講した通信講座の添削で指摘をされました(また、下屋部分は根太レス工法ではなく、火打梁を入れるべきだということです)。なお、床梁を910㎜間隔で入れると、火打梁を描くよりも床伏図の作図に時間がかかるので、根太レス工法は基本的にお勧めできないとの指導もありました。
 作図の早くない私は、「せめて下屋以外、床伏図に火打を描きたくない。特に今年(令和2年)は矩計図が要求図書で、根太工法だと基礎周りと胴差周りの双方で根太を描かないといけないし・・」という思いを捨てきれず、「根太あり剛床工法」に着目してみました。
 これは、大引や床梁の上に根太を掛ける通常の根太工法ではなく、大引等(@1820㎜でOK)の上面に合わせて落とし込み根太を施工し、構造用合板を施工して床剛性を確保する工法で、国交省告示1347号(評価方法基準「第5.1.1-1(3)ホ③」)の表(2)欄や、住宅金融支援機構「木造住宅工事仕様書」などに詳細規定があります。
 この工法であれば、床伏図に「構造用合板㋐12 N50@150(梁、胴差、落とし込み根太45×105@455に留め付け)」などと表記し、火打梁の表記を省略(矩計図には、対応する落とし込み根太を記載)しても良いのではないか?などと考えてみました。
 しかし結局、他の受験生が全く採用していないと思われる工法を採用するのは試験対策上リスクが高いと判断し、令和2年試験では、おとなしく通常の根太工法を採用することにしたのでした。
 それにしても、昨年(令和元年)の予備校課題演習などで、梁を910㎜間隔で入れていない床伏図に火打梁を描かず、インチキ根太レス工法を押し通していたにもかかわらず、予備校の先生からは梁間隔の誤りについて指摘がなかったなぁ・・しかし、予備校では通常の根太あり工法で作図の指導がなされていたわけで、素人が半端な知識で色々アレンジするのはやめておいた方が良いということは間違いなさそうです。

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