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コラム/近況報告
掲載日: その他

タイトル幸田雅弘先生のこと

 私が現事務所移籍前にお世話になっていた幸田雅弘弁護士が、今年8月14日に逝去されました。難病を発症し、かねてから闘病されていましたが、まだ63歳というお若さでした。

 幸田先生は、建築紛争や住環境問題に取り組む弁護士として全国的に知られた方です。
 いわゆる別府マンション事件の第一次上告審では、「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」(安全性瑕疵)について、設計施工者等の第三者に対する不法行為責任を認めた最高裁判決(平成19年7月6日判決)を獲得されました。
 その差戻審である福岡高裁の不当判決について再度上告し、安全性瑕疵の定義をより具体化した最高裁判決(平成23年7月21日)を獲得されるなど、欠陥建築をめぐる不法行為論について画期的な成果を上げられています。
 サムシングの耐震偽装問題についても、設計者にマンション建て替え費用相当額の賠償を命じる判決(福岡高裁平成25年2月27日判決)を獲得されるなど、まさにこの分野の第一人者でした。
 また、刑事冤罪事件などにも熱心に取り組まれていました。幸田先生のご功績については、先生が以前在籍されていた九州合同法律事務所のブログで詳しくご紹介されているところです。

 私が幸田先生とのご縁をいただいたきっかけは、平成21年の福岡県弁護士会への登録替えでした。欠陥住宅問題に興味のあった私は、ご高名な幸田先生に事務所に入れていただきたいとお願いし、寛大にもお許しいただくことができました。
 それから、別府マンション事件第二次控訴審の不当判決に対する第二次上告の弁護団活動、第三次控訴審判決に対する第三次上告・・と、この事件の中盤~終末期にかけて幸田先生と一緒に活動させていただきました。その他、マンション、工場、戸建住宅などの様々な欠陥を巡る紛争について、幸田先生の手ほどきをいただきながら経験を積み上げていくことができました。

 建築紛争に関する幸田先生の知見や法律論についても大いに学ばせていただきましたが、先生と約4年間仕事をご一緒する中で最も感銘を受けたのは、そのお人柄です。立派な業績をお持ちなのに尊大ぶったところは一切なく、本当に暖かく優しく穏やかな人となりで多くの人に慕われ、まさに「人格者」という言葉を体現されているような方でした。
 そんな先生が難病にかかられ、こんなに早く亡くなってしまわれたことについては、理不尽すぎるという思いがぬぐえません。私から幸田先生の訃報をお伝えした元依頼者の方々も、異口同音に残念がられていました。

 幸田先生には、ご恩返しといえるようなことは何もできていませんが、これからも、先生とご一緒させていただいた欠陥住宅問題への取り組みを続けていきたいと思います。幸田先生、本当にありがとうございました。先生には感謝してもしきれません。
 これから、有志の企画で「幸田先生を偲ぶ会」を開催する予定です。

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