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コラム/近況報告
掲載日: 建物・建築

タイトル事例紹介(5)◆フランチャイズ住宅の建築紛争③◆

◆第一審の顛末
 裁判の途中で付調停となり、提訴から一審判決まで3年弱を要しましたが、被告も欠陥も争点も多い建築紛争事件としては、短く済んだくらいの審理期間かもしれません(当初は裁判官3名の合議事件でしたが、期日が入りにくいので単独事件に切り替わり、担当裁判官がご自分で判決を書く気満々の方だったことが幸いしました)。
 設計監理者の訴訟代理人には、原告が本件の委任を前提に相談したことのある弁護士が就任したため、利益相反であり訴訟行為の有効性を争う旨を裁判所に上申したところ、代理人は辞任しました。その後、設計監理者本人の申し入れにより訴外で和解し、FC本部、加盟工務店・代表者を被告とする裁判となりました。
 瑕疵性や補修方法・費用を巡る攻防について、印象的だったことを挙げてみます。

◇小屋組材緊結不良
*垂木・母屋仕口
 建築基準法(施行令47条1項)が要求する「構造耐力上主要な部分である継手又は仕口(の)緊結」については、各種技術基準(JASS11等)が具体的な方法を定めています。
 屋根下地を支える垂木と、垂木を受ける母屋の緊結については、原則として、N75という釘で両側面を斜め打ちとされています。ところが、釘が垂木の片面しか打たれていない(釘種も違っていたりする)というのはままみられる施工不良です。
 もっとも、垂木と横架材(軒・母屋・棟木)接合の専用ビスで、垂木の上端から1本打ちでOKという製品もあります。本件建物では、垂木・母屋仕口部の垂木は片面しか釘が打たれていませんでしたが、この仕口部と垂木の継手が重なっているところは、垂木継手部に専用ビスが打たれているようでした。
 こちら(原告)が、垂木継手部以外の垂木・母屋の仕口は、釘の片面打ちであると主張したのに対し、被告工務店は、垂木・母屋との仕口全てを専用ビスで(垂木の上端から)留めつけていると反論してきました。
 しかし、垂木の上から専用ビスを打つ場合であれば、ビスを垂木当たり欠き(母屋の垂木接合部に設ける切り欠き部分)に納めることは難しく、垂木の下端と母屋の上端との間にビスの胴部が露出するのが通常です。

 本件建物でも、専用ビスが打たれている垂木継手部では、母屋との間にビス胴部が露出しています。

 一方、垂木継手部以外の母屋との仕口(垂木片面のみ釘打ち)では、ビス胴部の露出箇所が全くありません。ということで、被告の主張は明らかに虚です。

*桁・妻梁継手
 本件建物の小屋裏外周部横架材(桁・妻梁)は、小屋裏内部から確認する限り、継手の緊結金物が設置されていません。
 これを瑕疵として指摘したところ、被告工務店は、金物は横架材の反対側(屋外側)側面に施工されていると反論してきました。
 そこで、外周部横架材と屋外側面材の間に金尺を差し込み、横架材の屋外側にも緊結金物は設置されていないことを追加調査によって明らかにしました。
 すると被告工務店は、「やはり横架材の屋内側に緊結金物を設置している」「金物は横架材の下部から貼られている石膏ボードに隠れて見えていない」などと言い出しました(これには、さすがにイラっとしました)。
 そこで、横架材の成(高さ)との関係上、そもそも石膏ボードの被覆範囲に金物を設置しているとは考えられないし、横架材継手部の石膏ボード被覆箇所にはボード留めビスが打たれているのだから、その内側に金物など存在するはずがないと再反論することになりました。

◇外壁防火
 法22条区域の建物は、屋根を不燃材料で葺き、先述の通り、延焼ライン内の外壁を準防火構造とする必要があります。その趣旨は、外部火災による屋内への類焼防止(屋根)や抑制(外壁)ですから、準防火構造とすべき外壁の範囲は、屋外露出部分の全体です。また、準防火構造でない水平軒天の場合は、外壁の軒に隠れている部分も準防火構造としなければなりません(㈱ぎょうせい「建築物の防火避難規定の解説2005」)。
 外壁材メーカーが防火構造認定を取得している外壁構造は、屋内側に防火被覆材(石膏ボード)を施工するものが多くあり、本件建物も、使用された外壁材の組み合わせからすると、(準)防火構造とするには屋内側に石膏ボードを施工する必要がありました。
 桁・妻梁の屋内側側面に緊結金物が施工されているのかが争いになったのは、これらの横架材まで石膏ボードが張り上げられている箇所ですが、2階天井の上部(天井~桁・妻梁間)に石膏ボードが張られていない箇所も、かなり広範に及んでいました。
 この小屋裏防火被覆について、月刊誌「日経ホームビルダー」2008年10月号は、「屋内の防火被覆どこまで必要?」という特集記事を掲載しています。同記事では、屋内防火被覆に関する7つの質問(Q1~Q7)に対する特定行政庁の回答内容とされるものが一覧形式でまとめられており、「Q2 小屋裏や天井裏には(当職注・屋内防火被覆材が)必要?」という問いに対して、神奈川県及び愛知県が「不要」「必要とは指摘していない」と回答したことになっています。
 この記事はネット検索で入手できることから、屋内防火被覆未施工の争点について、被告側(施工会社)から書証として提出されることがよくあります。本件でも、被告工務店は同記事を引用して「小屋裏に防火被覆を求めない自治体(特定行政庁のこと?)も存在する」と主張してきました(この特集で取材対象とされている特定行政庁に、本件建物所在地の管轄庁は含まれていないのですが)。
 が、記事掲載の質疑・回答一覧表を検討すると、明らかにおかしな点がいくつも目につきます。例えば、「Q2」に対する神奈川県の回答は、小屋裏防火被覆は不要というものですが、一方で、「Q1 妻側ではどこまで必要?」という問いに対しては「外壁がぶつかる軒の高さまで」という回答となっています(一般的な住宅では、その範囲に小屋裏が含まれます)。また、「Q3 軒に防火被覆を施している場合、どこまで必要?」「Q4 軒がなく、外壁に防火被覆が施されている場合、どこまで必要?」との各問に対し、「基本は外壁がぶつかる軒の高さまで」「外壁の高さまで」と回答したことになっていますが、これらの範囲にも通常は小屋裏部分が含まれます。
 そもそも、法22条区域内の建物について、法が外壁防火要否の分水嶺とする基準は、延焼ライン内か否かという平面的要素ただ1点です。
 それなのに、特定行政庁が、「軒に防火被覆を施して」(「Q3」)いない場合にまで、屋内防火被覆材を不要と判断するのであれば、各庁独自に、法の要求よりも外壁防火範囲を縮小している(立面的限定を加えている)ことになるわけで、そのような運用が実際になされているとは思えません。常識的に考えても、周囲の火災に対して屋根からの類焼を防止し、居室(天井下)外壁部分からの類焼は抑止しつつ、小屋裏外壁部分は無防備でよい(そこから屋内への類焼はOK)などという解釈が成り立つはずもありません。

 そこで、記事掲載の各特定行政庁に問い合わせてみたところ、一様に、「そんな(記事掲載の)運用はしていない。過去にもしていないと思う」との回答でしたので、その聞き取り結果をまとめて書証として提出しました。
 なお、この記事(特集)が設定した「Q2 小屋裏や天井裏には(屋内防火被覆材が)必要?」「Q7 天井に準耐火構造の防火被覆を施した場合、天井裏の防火被覆をなくすことを認めるか?」等の問いは、建物居室内への類焼防止を念頭に置いたものだと思われます。
 しかし、建築基準法(22条・23条)は、居室部に限らず、建物自体(屋根・外壁という外皮で覆われる屋内全体)を類焼防止・抑制の対象としています。この特集の担当記者は、法の理解を誤っていたのではないでしょうか。
 裁判で相手方にこの記事を引用され、いちいち反論するのもやっかいなので、発行元の日経BP社には訂正記事をお願いしたいところですが、日経ホームビルダーは2021年4月号で休刊となったようです。

FC独自仕様関連の瑕疵
*外壁通気胴縁未設置(通気層厚さ不足)
 通気層が厚さ5mm(保険基準等の15mm厚に対する大幅な不足)というFC仕様の外壁について、被告FC本部は、裁判の途中で、保険法人の「3条確認」を得た(保険基準に拠らない仕様であっても、保険法人が「同等の性能」が確保されていると認めた)として、その確認書と、確認申出の添付資料を提出してきました。
 その添付資料には、5mm厚通気層の雨水排出機能を実験によって確認したという報告書が含まれているのですが、通気層の通気(上部からの湿気排出)機能に問題がないことを明らかにするような資料はありませんでした。
 そこで、保険法人が当該3条確認にあたり、5mm厚通気層の通気機能についてどのような審査をしたのか(①)、また、保険基準の15mm厚通気層と「同等の(通気)性能」を有すると判断した根拠(②)を調査事項として、当該保険法人を嘱託先とする調査嘱託を申し立てました(被告FC本部はよくわからない抵抗をしていましたが、裁判所は申立を採用しました)。
 保険法人の回答は、調査事項にあまり噛み合っていないうえ、やはり、通気機能については実質的な審査をしていないことが明らかなものでした(3条確認にあたり、被告FC本部申告の「多数の施工実績」を根拠にした旨の記載もあり、そんなにいい加減なものかと驚きました)。
 もちろん、この調査嘱託の回答を引用して、当該3条確認は、FC仕様外壁の通気機能を保証するものでないことを主張しました。
 そもそも、3条確認が想定しているのは、保険基準とは設計思想が異なる仕様(性能は保険基準と同等であると認められるもの)のはずです。単に、保険基準の規定値より厚さを小さくしただけという通気層が、規定厚の通気層と同等性能のわけがありません。
 なお、被告FC本部が3条確認を得た保険法人は、本件建物に付保された住宅瑕疵担保責任保険の保険法人とは別でした。被告FC本部がこの3条確認について主張立証したのが第一審のかなり終盤だったことからしても、当初は、後者の保険法人に対して3条確認を申し出たものの、通気機能が不明なため、審査に通らなかったのではないかと想像するところです。

*セメント系耐力壁面材と防湿気密シートの不適合
**面材が表面結露しなければ問題なし?
 
セメント系面材と防湿気密シートの組み合わせについて、被告FC本部は、面材メーカー(顧客相談室担当者)から「外断熱等により耐力面材の表面における結露が防止されるなどの設計が採用されている場合など・・面材表面の浸水または高湿潤状態が回避されている場合にまで『透湿性がない防水紙』の使用を禁止するものではありません」という旨を電話で聴取したという報告書を提出してきました。
 この報告の明らかにおかしな点は、「面材の表面における結露」や「面材表面の浸水」と、「高湿潤状態」とが同列に扱われ、そのいずれも「外断熱」によって回避されるというところです。
 水蒸気が露点以下の物質に触れて凝結するという「結露」現象に着目するなら、確かに、外断熱工法(断熱材の内側に面材施工)では、低温期にも面材表面温度が露点以下にはなりにくいといえます。
 しかし、セメント系材質は、水分(液化状態に限らない水分子HO)との反応によって劣化するのであって、液状の水が表面に付着しなければ問題ないというわけではありません。面材が表面結露を生じていなくても、気化状態の水(水蒸気)が壁内に充満した状態が続けば、面材が高含水(液状の水に濡れた状態ではなく、面材が内部に大量の水蒸気を含んだ状態)のために劣化する(セメント粒子の水和反応が進む)のは避けられないはずです。外断熱の場合、室内の壁下地材(石膏ボード)裏面には防湿層を施工しないので、壁内(軸組内)への水蒸気の侵入量は、内断熱工法の場合よりも大きいという点も問題です。
 こちらでもメーカーに問い合わせをしてみたところ、担当者は、被告FC本部から、外断熱に関する問い合わせはあったが、報告書記載のような回答はしていないとして、「面材の劣化は、結露のみでなく壁内の多湿状態が問題となる」ことを認めていました。
**含水率●%超まで耐力低下はない?
 さらに被告FC本部は、「面材の耐力低下は含水率30wt%を超えるような場合に顕れるものであり、セメント系材質の面材についても同様に捉えるべき」という学者(大学名誉教授)の意見書を提出してきました。その意見の根拠のなさ・適当さには驚くばかりです(意見は、本件建物の耐力壁面材が含水率30%未満であることを前提としていますが、その根拠自体が不明です。外壁内部が、クロスにカビが生えるような高湿潤状態だということは考慮していないのでしょう)。
 構造用合板など、耐力壁面材として最も多用される木質系材料についてさえ、「耐力の低下は30wt%を超えるような場合に顕れる」などという知見はありません。合板の日本農林規格(JAS)では、構造用合板の含水率規格として、「同一試料から採取した試験片の含水率の平均値が14%以下であること」とされています(JAS第6条1項・第4条1項)。木材の場合、含水率が繊維飽和点(30%)に達するまで強度低下が続き、これを超えると低下した強度はほぼ一定となります。
 吸湿によって風化するセメントが主原料の面材についても、含水率30%を超えるまでは耐力低下は生じないなどと断じる根拠が全く不明です。そもそも、面材の吸湿による耐力低下の発現や、その機序は様々だというのに、一律に「耐力の低下は含水率●%を超えるような場合に顕れる」などという見解をよく表明できるものだと思います。

*外張り断熱材継ぎ目の気密防水テープ未施工
 先述の通り、外断熱工法の断熱材(発泡プラスチック)継目の気密防水テープ未施工は、外壁(断熱層外側)防水層の欠損となり、断熱層の性能を低下させる欠陥でもあります。
 被告FC本部は、前者の防水性の問題について、本件建物の断熱材(積水化学工業㈱フェノールフォーム断熱材「フェノバボード」)は、継目(断熱材小口)から吸水することはないと主張し、断熱材浸水実験の結果だという書証(報告書)を提出してきました。しかし、その実験は、断面(小口)が赤褐色の断熱材を同系色の色水につけるという手法だったため、写真を見ても、断熱材が水を吸っているのかいないのか判然としません。
 発泡プラスチック断熱材のうち、ポリスチレンフォームなどは吸水率が0.01g/100㎝2以下と極めて小さいのに対し、フェノールフォームは最も大きく、4~10g/100㎝2以下とされています。
 メーカーが公開する物性データでも、「フェノバボード」の吸水率は3.5g/100㎝2以下とされています。これは、建築用断熱材JIS規格(JIS A 9511)に従った浸水実験の結果であり、試験条件として、防水性のある表面紙は付けたままとされているので、実質的な浸水箇所の面積は試験体断面(小口)の総面積のみだと思われます。つまり、フェノバボードの継目に水が浸入した場合、小口から断熱材内部に浸透していくことは明らかですし、被告FC本部の自社サイトや加盟店向けのマニュアルにも、フェノールフォーム断熱材について「吸水性・吸湿性が高いというデメリット」や「保管は水分に接する場所を避けて下さい」という記載があるのは何なのだという感じです。
 これらの指摘と併せて、こちらは、新たに断熱材メーカーから取り寄せたサンプルと、被告工務店が建築主の方に渡していたサンプルの双方を墨汁希釈液に浸水する実験をJIS規格に近い形で行い、吸水による質量変化と、断面の吸水状況を明らかにしました。
 論文によると、発泡プラスチック断熱材は時間の経過により劣化する(断熱材内部の発泡ガスが放散して周囲空気が断熱材に侵入し、断熱材内分圧が変化することによって熱伝導率が上昇する)そうです。内部の発泡ガス放散につれて断熱材内部への空気の侵入が生じるようになれば、当然に、液体の浸入も容易になるはずで、実際、依頼者の方から預かった古い断熱材の方がよく吸水していました。

 なお、断熱材継目のテープ未施工は、防水性だけでなく断熱層の性能を低下させる欠陥だという指摘に対しては、被告FC本部から最後まで反論はありませんでした。

*カビの発生
 本件建物の内壁材や床下地のカビは、雨養生不良(基礎内・軸組材が濡れた状態での床張りや気密防水シート施工)が一因であることは間違いありません。
 さらに、期日で、調停委員の1名から、「(壁の軸組材が)グリーン材なのではないか」との指摘がありました。
 グリーン材とは、日本農林規格(JAS)の乾燥処理表示の未仕上げ材の区分(含水率15%以下(D15)・20%以下(D20)・25%以下(D25))に合致しない未乾燥材(含水率25%超)のことです。
 各種文献では、「仕様において特記のない場合の構造材の含水率は20%以下」「構造用材の含水率は15%以下が望ましい」とされています。
 グリーン材は安価で、小屋組材などに使用されることもありますが(施工会社が建築主に説明なしで採用しているケースもままみられ、問題だと思います)、一般住宅でも、密閉度が高い壁内の軸組(柱・梁)に使うものではありません。
 ましてや、基礎断熱・外壁の防湿気密シート施工で床下や壁内を完全に密閉する(換気口等による床下換気を行わない、壁内に浸入した湿気を外壁通気層に排出させない)仕様の住宅にグリーン材を使うなどというのは考えられないことです。
 さすがにそれはないだろうと思ったのですが、被告工務店は、「建方でグリーン材を使用したのは事実」「(プレカット)木材のいずれがグリーン材であるかは特定できない」などと言い出したので仰天しました(木材のプレカット工場に問い合わせてみたところ、どうやら本当にグリーン材が発注されていたようです)。
 慌てて、被告FC本部の責任について、壁内・床下の密閉を前提とするFC仕様であるにもかかわらず、グリーン材使用を禁じる旨の加盟店への指導がないという主張を追加しました。
 が、カビ発生の原因として元々想定していた雨養生不良・軸組などが未乾燥状態での仕上げ施工という問題すら、「一般仕様の住宅でもカビが生えそうである。ましてや高気密仕様の住宅であれば、ほぼ確実にカビが生えることは普通にわかる」という話なので、被告FC本部の加盟工務店に対する指導義務違反が認められるのか(あまりにも非常識な施工について予見可能性があったといえるのか)、若干不安なところでした。
 これについては、「被告FC本部の加盟工務店は(被告工務店も含め)技術力・モラルにばらつきのある小規模事業者ばかりであるが、加盟工務店の選定にあたって、技術レベルの審査はされていない。施工常識といえる事柄も含め、FC仕様に起因する欠陥防止のための施工方法についてはもれなく指導が必要である」との主張をしていましたが、高気密住宅のグリーン材使用回避というのは、雨養生以上に常識的な話だとも思われます(これがカビ発生の主原因として認定される場合には、被告FC本部の責任はどうなるのだろうかと不安が増しました)。
 技術者として優秀であるほど色々な可能性に気づくのでしょうが、調停委員(建築士)には、当事者が主張していない事実を指摘しないということを裁判所から徹底していただきたいものです。

*補修費用
 
建築紛争に取り組む弁護士の間では、「訴訟の主戦場は、瑕疵性から補修方法・費用の相当性に移った」と言われて久しいところですが、本件では瑕疵性がさんざん争いになり、補修費用については被告側から見積も出されず、あまり実質的に争われませんでした。
 しかし裁判所の求釈明として、瑕疵の認定範囲別の10パターンにも分けた補修費用の提示を求められたのには参りました(今のところ、後にも先にも唯一の経験です。裁判のかなり終盤でもあり、もう少し心証を固めて、パターン分けの数を極力減らして求釈明してほしかった・・)。
 やむを得ず、建築士さん(当初の補修見積作成者)に、求釈明のパターンに応じた工事項目をピックアップしていただき、エクセル関数で費用欄を補充した見積を作成しました。

(続く)
 

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