将来的には建物の欠陥調査を自分でできるようになりたいという思いから、最近、懇意の建築士さんが建物の調査や工事監理に行かれる際、できる限り連れて行っていただくようにしています。現場で色々と解説していただいたり、調査のお手伝いをしたりする中で、机上の知識だった事柄について実感することがたくさんあり、発見の連続です。
真夏に、内断熱(壁内や天井裏にグラスウール断熱材を充填する断熱工法)の木造住宅の小屋裏に上ったときは、50℃くらいあるんじゃないかという暑さに頭がボーっとしましたが、外断熱(躯体の外側をボード状や発泡状の断熱材で覆う断熱工法)の建物だと、小屋組の上(屋根野地板の下)に断熱材が施工されているので、小屋裏と居室の気温差をそこまでは感じません。断熱材って本当に断熱効果があるんだなと体感したところでした。
一方で、真夏でも床下は結構ひんやりしています。(床下の温度は、断熱工法の違いによってさほど差がないように思いました。直射日光の当たる屋根から遠い場所だからでしょうか)
しかし、床下に潜って行う基礎や床組の調査は本当に大変です。床板まで40㎝くらいしかない基礎スラブの上を腹這いで進み、色々と測ったりメモしたり。平台車を使える部分は移動が楽なのですが、スラブ上に横配管がある部分はそれをよけつつ、匍匐前進で進むしかありません。建物調査をお願いしている建築士さんは、毎度こんなに大変な思いをされているのだと頭が下がるところです。
先日は、開口部(はめ殺し窓)から雨漏りが起きた建物の補修工事監督業務に立ち会わせていただきました。事前の散水実験によって、建物前面の最上部窓サッシの方立部分から漏水が起きていることが確認されたそうで、建物前面の内外壁解体→漏水範囲の木下地等を必要に応じて交換→最上部とその下の各窓をサッシ方立のないものに交換→外壁原状回復(漏水箇所付近の内壁は、軸組や壁材を乾燥させるためにしばらく放置予定)という補修計画でした。
通常の建物欠陥調査では、外壁構造(外壁内の部材の納まり状況)などを直接確認することはできませんが、今回の補修工事立会では外壁の外装解体過程を見られたことで、今まで断面図などで見ていた外壁の納まりはこういうことなのか~と実感できて感激ものでした。
連れてきてくださった建築士さんが建物調査をされる際、外壁構造の欠陥を指摘されることが多いのですが、その調査報告書に出てくる外壁部材なども、今回初めて現物を見たというものがいくつかありました。
その一つが、サイディング材の留め付け金物です。
昔のサイディング材(厚さ12mm)は釘で留め付ける仕様のものも多かったようですが、現在のサイディング材は厚さ14mm以上で重量も大きくなり、こうした専用金具で留め付けるものが主流になっています。
(ところが、サイディング材の施工マニュアルに違反して釘で留め付けられていることがあり、これは外壁施工の欠陥にあたります)
こんな感じ↓で、ビスや釘で間柱に固定した金具の下部分に、サイディング材のあいじゃくり部分を引っ掛けます。
そして、金具の上部分に次のサイディング材を乗せるという手順で、外壁を下から張り上げていきます。(※上の写真は、サイディング材を上から外していっている途中の様子です)
最下部のサイディング材はスターターという金物の上に取り付けます。
このスターターも、今回初めて現物を見た部材のひとつです。
窓廻りのサイディング材が完全に撤去された状況です。
ここで気がついたのですが、この建物の外壁には胴縁という木材が施工されていません。
胴縁は、外壁の通気層を確保したり、サイディング材留め付け金物の固定先として、木造軸組建物の外壁には必ず施工されるものかと思っていましたが、建築士さんの解説によると、軸組構造の建物でも胴縁を設置しない外壁工法があるそうです。
この場合でも、外壁通気層の必要幅は、サイディング留め付け金具の奥行によって確保されるようです。うーん、まだまだ知らないことばかりです。。
中間部の窓枠上部の汚れを触ってみると、湿った汚れが手につきました。最上部の窓の方立からサイディングの内側に入り込んだ雨が、下にある窓のサッシ上枠に伝ってきたようです。
サッシの横枠を伝ってきた雨水が、開口部の角から下の防水紙に拡がった痕跡が残っています。
その他、開口部廻りの至るところに雨水が伝った跡が残っていました。
(続く)