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コラム/近況報告
掲載日: 近況報告

タイトル一級建築士への道(挫折予定)-2026年学科試験編-

 2023年、一級建築士学科試験をなんちゃって受験し(ほぼノー勉)、もちろん撃沈いたしました。
 その後、真面目にやれば絶対にキツイであろう一級の試験勉強に手を出す気にはなれませんでしたが、2024年、よく知っている弁護士の方(大学は建築学科ご卒業で、私と同じく、弁護士になってから二級建築士試験に合格されている)が一級建築士試験の勉強を始められ、翌年見事、学科試験に合格されました。
 それに触発されるなどして、私もついに昨年、予備校の学科対策コースに課金してしまったのです。
 結果、いい歳をしてズブズブの受験沼にハマり、今年なんとか学科試験には合格したものの、今月受験した製図試験は、合否発表を待たずして不合格が確定しています。
 現状、学科試験合格体験記&製図試験不合格体験記という半端なものしか書けない身ですが、一級建築士試験合格体験記を書ける未来は全く見えていないなか、ネタにできるものはしないと損ということで、半端体験記を書いてしまうのであります。

◆一級建築士の学科試験対策は地獄であった
*投入時間が辛い
 昔々、一級建築士学科試験の学習ボリュームは二級建築士学科試験の3倍と聞いたような気がしますが、体感的なしんどさは3倍どころでなく、地獄のように辛いというのが個人的な感想です。
 予備校カリキュラムとして、10月中に各科目の入門的な講座の動画配信があり、本格的な講座は、11月中旬から翌年7月中旬にかけて行われます。基本的には(模試の実施週以外)、5科目いずれかの講義が毎週あるのですが、一級の要学習ボリュームからして、講義1回あたりの進行範囲は、テキスト数十頁分となっています。
 講義は予習ありきのスタイルで(テキストの内容を逐一解説してくれるわけではない)、問題演習を交えつつ進んでいきます。講座期間中は、①次週講義範囲をテキストで予習→②プレテストを解く→③講義をこなす→④復習テストや他科目含む履修済み範囲のテストを解く→⑤該当範囲の過去問を解く→①・・のループで、カリキュラムに遅れをとらないために、毎日2~3時間は学習時間を確保する必要がありました。
 「もー無理」と思いながら毎日をやり過ごし、なんとかドロップアウトしなかったのは、ひとえに、予備校課金を無駄にしたくないというケチ根性?のためでした。
 インターネットにも現実世界にも、一級建築士学科試験は、独学で合格できると主張する人がいます。その言説は、「自律心、克己心、情報収集力が旺盛な人であれば」という留保付きで正しいと思いますが、私のようなグータラ心旺盛な者にとっては、絶対に無理な話でした。

*なかなか成果が出ずに辛い
 覚えるべきことがとにかく多くて細かいので、カリキュラムをこなすうえでの上記ループは、新規の知識を毎週詰め込む→それまでに覚えた知識を忘れていくというループでもありました。
 若くて賢い人でも易々と吸収・定着できるボリュームではないと思いますが、私はさして記憶力が良くもないうえに、歳も歳であります。脳のストレージ的なハンデは明らかで、新規インプットに伴って旧インプットは消え失せ、以前は解けた問題がもう解けないというのがデフォルトでした。

*老眼が辛い
 近視で、PC画面は眼鏡をかけないとぼやけますが、目から30㎝くらい離れた位置のものは、眼鏡をとってもつけてもピントが合わない感じです。
 つまり、自然な体勢では、テキストが読みにくくて仕方ないわけです。
 脳みそ的にも視力的にも、難関国家試験などに手を出すのであれば、若いうちに越したことはないと実感した次第です。

◆各科目の辛いポイント
 一級建築士学科試験は、5科目125問(計画、環境設備各20問、法規、構造各30問、施工25問)となっています。
 何の生産性もありませんが、各科目の辛いポイントを吐き出します。

*計画(の建築作品)
 純然たる計画の知識インプットだけであれば、他の科目に比べてさして辛いことはないが、建築作品を覚えなくてはならないのがとにかくキツイ。
 古今東西のこんな大量の建築作品を覚えることと、建築士としての能力に何の関係があるのか。寺院とかの設計なんて、そういう依頼があったときに個別に勉強すればよいのでは。建築作品の問題は捨て問にしたいところであるが、例年5問前後は出題されるのでそうもいかない。ナントカ教会の様式がロマネスクだろうがゴシックだろうがバロックだろうが、ナントカ邸の設計者が誰だろうが、どうでもいいーーーー
 「これ(試験対策という以外に)何のために必要なん」と思わずにいられない、モチベーションが上がらないという点で、建築作品は、どの科目より辛かったかもしれない。

*環境・設備
 覚えることのボリュームが多い。細かい。設備分野はそんなに仕事で取り扱うこともないし、個人的な傾向なのかもしれないが、知識が定着しにくい。

*法規
・法令の出来悪すぎ問題
 一読して何を言っているのかわからない条文が多すぎる。絶対にもっとわかりやすく言い換えることができる。一文が長すぎる。一文中の()書きも多すぎる。二重否定三重否定の言い回しや条文の立付をやめれ(「(内装)制限を受けない特殊建築物等」というタイトルの条文に列挙されているのが、制限を受ける建築物というのはどうなんだ。こういう立付の規定が山ほどある)。規定は、法と令のどちらかにもっとまとめてほしい。条文の枝番多過ぎ。
・法規だけ時間足りない問題
 他科目の試験時間にはやたら余裕があるのに、法規だけは時間がシビア過ぎる。法令集持ち込み可であるから、試験時間を長くし過ぎると得点差がつかないのであろうが、せめてあと15分ほしい。

*構造
 最も苦手意識のない科目であるが、構造力学の計算問題で、四則演算や約分・通分などを間違えるという間抜けっぷり。

*施工
 好きな分野ではあるが、環境・設備以上に、覚えることのボリュームや細かさがすごい。
 ナントカの許容誤差が±●㎜とか、■℃以下ならこれをやってはいけないが、▲℃以下ならこういう条件でOKだとか、数多の工事分野について、重箱の隅をつつくような数値関係を無数に覚えなくてはならない。

*全般
 4肢択一で、うち2肢で迷った場合、かなりの高確率で間違った方を選んでしまう。

◆ちょっと合格が見えてきた
 各科目得点、総得点とも合格基準点は毎年変動しますが、総得点の合格基準点は、例年90点前後です。
 3月から5月にかけての模試では、感覚では解けない問題が多い環境・設備や施工が足を引っ張り、総得点は80点台をうろうろしていました。その間も講座は進み、まだまだ新しいことを覚えねばなりません。
 7月、最後の模試でようやく90点を超えることができ、伸び悩んでいる科目を中心にがーーーーっと追い込んだ結果、試験2週間前くらいにようやく、運が良ければ合格できるレベルに到達したなという感覚になりました。

◆試験当日
 いよいよ試験当日、会場のエレベーターで、2度も提訴したことのある工務店の社長さんと遭遇しました。こちらは仕事モードでないので(ボロい帽子・Tシャツ・ズボン着用)、絶対に気づかれていないと思いたいところです。
 時間に追われる法規の試験時間中はずっと眉間に皺が寄っていましたが、何とか全問解き終えることができました。他の科目は、ダラダラと問題を解き、2度見直しをし、マークシートを異常に丁寧に塗りつぶすなどしてもまだ時間が余ります。暇なので、自分のみならず工務店社長の合格まで祈ってみました。
 わりと自信のあった計画や構造で、意外とわからない問題が多かったなという感想を抱きつつ帰宅し、予備校解答速報による自己採点という苦行を乗り越えたところ、合格は固いであろう100点台が取れていました(計画16/20、環境・設備18/20、法規26/30、構造24/30、施工22/25、総合106/125)。
 ぃやったぁ。
 なお、今年の学科試験は易しめだったということで、各予備校が発表した合格推定点の最低値は93点、実際の合格基準点は94点でした。

◆受験生の皆様へ、アドバイスというほどでもないですが
 最後に、ここまで読んでくださった学科試験受験生の方向けに、私の辛いポイント克服法について書いてみます。さして有益ではないと思いますが、少しでも参考になるところがあれば幸いです。

*計画(の建築作品)
 過去に出題されている作品を中心に覚えるしかないですよね。予備校教材の建築作品集には500作品くらい掲載されていますが、そんなに覚えられるわけないですし。
 建築作品の具体的な対策法は、ネットでも予備校教材でもいろいろと紹介されているので、それらを参考にしつつ、隙間時間を有効活用されるのが良いかと思います。

*法規
 これはもう、「法令の出来自体を何とかせぇ」という怒りを振り払い(その点にそんなにこだわっているのはもしかすると私だけなのか?)、法令集を作り込み、ある程度のことは暗記し、条文を引く肢をできるだけ減らすという競技だと割り切るほかありません。
 法令集のインデックス貼りやアンダーライン引きが完成しても法規が時間不足になる方は、必要に応じて、法令の条文目次にもアンダーラインを引いてみると良いかと思います(目次をうまく活用すると、見つけにくい条文のアクセスが楽になります)。
 その他の時短法として、私は、「二児の母。育休中に一念発起!!」「学科試験は独学3か月で合格。その勢いのまま製図試験を突破し、ストレート合格」というバケモノみたいな方(褒めてます)のブログが参考になりました。
 そこで紹介されているのは、
 ①No.1~No.5まで解く
 ②No.30~No.18まで逆順で解く
 ③No.15~No.10まで逆順で解く
 ④No.16、No.17を解く
 ⑤残りのNo.6~No.9を解く
という手法で、概略、比較的簡単な各種法令問題(No.30~No.18)を早いうちに解き、時間のかかる計算問題(No.16、No.17)や防火避難問題(No.6~No.9)を最後に回すというものです。
 このやり方そのものは、私にはあまりフィットしませんでした。というのが、各種法令問題のうち、建築士法は早く解ける一方、都計法などは苦手でけっこう手間取るのです。また、4肢が全て違う法令を取り上げている問題は、肢ごとに法令集のかなり離れた頁を開いて条文を探すことになるので、それだけで時間がかかります。
 しかし、時間がかかる問題は後に回すという基本スキームは素晴らしく、私の場合、
 ➊No.1~No.5まで解く
 ❷No.6~No.9は飛ばす
 ➌No.10~No.30まで基本的には順番に解くが、高さ制限問題に時間がかかりそうなら、その問題は飛ばす
→私は、計算問題全てに時間がかかるということはなく、容積率や建蔽率の問題はさくさく解けましたが、高さ制限問題は時間がかかりがちなので、それだけ飛ばすという方針を採っていました。
 ❹No.6~No.9を解く
 ➎(飛ばしていれば)高さ制限問題を解く
というようにして、何とか試験時間内に全問解き終われるようになりました(今年の本試験は、高さ制限問題がややこしくない内容だったので、No.6~No.9のみ最後に回し、他の問題は飛ばすことなくNo.順に解きました)。
 おそらく、防避問題を解くのに時間がかかるのは万人共通で、その他のジャンルは、人によって解答所要時間のばらつきがあるのではないかと思います。自分が時間かかりがちなジャンルの問題を最後に回すというのは、トータルの時短や、積み残し問題を減らす・なくすという点で有効だと思います。

*環境・設備&施工
 暗記が苦手な私にとって、この2科目は特に苦痛でした。環境・設備はまだ、理論的なものが理解できていれば丸暗記に頼らなくても良いという分野もありましたが、施工の細かい数値関係などは、理屈も何もない(その数値になっている実務的・経験的な背景はもちろんあるのでしょうが)、力業の暗記を要します。
 その関係でも良かったなと思うのが、私は、予備校の通学講座ではなくWeb講座を選んでいたことです。
 Web講座であれば、本試験当日まで、過去の講義動画を何度でも視聴できます。私は、本試験の2か月前くらいから、家事などをしつつ、環境・設備と施工の講義動画をBGMのように流すということをやっており、それが知識の定着に相当役立ったと感じています。
 Web講座は、通学時間がいらない、都合の良い時間に講義動画を視聴できる、居住地に通学しやすい校舎がないといった理由で選ばれることが多いと思いますが、通学講座よりも費用が安く、動画を繰り返し視聴できるという点も非常にお勧めポイントです。
 通学講座と違って、疑問点を講師に直接質問できないというデメリットはあるかと思いますが、私の場合、特にそれで困ることはありませんでした(学習上の主な悩みは、こんなにたくさんのことを覚えられない!!というもので、わからないので質問したいということはほとんどなかったです)。また、どの予備校も、Web講座受講生の質問フォロー体制は整えているのではないかと思います(メールやFAXだと、口頭のやりとりに比べて迂遠だとは思いますが)。
 私が受講していたWeb講座は、通学の対面講座にも10数回分出席できるというチケット付きでしたが、結局それは一度も使わず、模試も全て自宅でやりました。

◆最後に
 結果的に、合格基準点をかなり上回って合格することはできましたが、とにかくもう、辛すぎて絶対に2度と受けたくないというのが一級建築士学科試験を終えた感想です(すでに、受験時には覚えていたことの3分の2以上は忘れている気がします。が、事件処理をするうえで、法規や構造の知識が役立ったこともあり、辛さに耐えたメリットはあったのかも)。
 二級建築士の学科試験は、これに受からないかもしれないと感じたことは全くありませんでしたが、一級と二級とではレベルが違うというか、試験として全くの別物だったという印象です。
 製図試験対策では、その思いをより強くすることになるのでした。

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